テニオタチャンネル

テニスオタクの社会人が、数々の大会をチェックし、スコアをファイリングし、時には会場へ足を運んで得たテニスの知識を元に誰よりも詳しく男子プロテニスを皆さんに紹介します。

フェレールの引退について語ります。


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こんにちは。テニオタチャンネルです。

またも久しぶりの更新となってしまいました。

さて、現在行われているマドリードマスターズですが、すでに今大会での引退を表明していたダビド・フェレールの2回戦が昨日の早朝行われました。相手はもう8回目の対戦となるズべレフ(弟)。試合序盤は15歳年上のフェレールが次世代王者ズべレフ相手に互角の打ち合いを見せ先にブレークを奪います。しかし、ラリーを重ねるうちに感覚を取り戻したのかそこからズべレフが怒涛の巻き返しを見せ、1ー4から5ゲーム連取し第1セットを取ります。

テニスファンは誰もがここからフェレールが持ち直すことを期待していましたが、そこからの展開はあの鉄人フェレールが引退することに皆が納得せざるをえないものでした。世界一のスタミナとフットワークでBIg4全盛時代に世界3位まで登り詰めた鉄人が、少し左右に振られただけでも動けず、追いつけなくなっていました。あのフェレールが、こんなに走れなくなってしまうなんて、と昔の彼を知るファンはみんな思っていたでしょう。それほど年齢というのは残酷なものなんだなと。そして、次世代王者に全く対抗できないまま、あっという間にマッチポイントが訪れました(フェレールのサービスゲーム、0ー40)。ここでズべレフは一呼吸置き、観客に「Everybody.」と声をかけ、フェレールへの声援を求めました。それに応え、観客たちは最後のポイントになるかもしれないフェレールへスタンディングオベーションで大声援を送りました。フェレールもそれを受け、感極まった様子でした。ここでのズべレフの心遣いは本当に素晴らしかったです。そして最後のポイント、フェレールのバックのスライスがアウト、この瞬間彼の現役選手としてのキャリアは幕を閉じました。

試合後のセレモニーでは、家族や仲間、そして多くのファンから暖かい声援を受け、コートを去りました。「トロフィーももちろん嬉しいけど、みんなからの愛はもっと嬉しかった。本当にありがとう。」と彼らしいコメントを残しました。

 

フェレールは、練習から常に全力で、選手の間でも尊敬されていました。試合ではどんな球も決して諦めずに追い、最後まで戦い抜く姿は選手のお手本であり、選手やファンは彼を「ファイター」と呼びました。錦織やナダルを始め、多くの選手が引退を惜しみ、彼の人柄に感謝するコメントを出しています。

彼は、10年前後が選手寿命である過酷なテニスというスポーツにおいて、20年という長きにわたり世界の最高峰を走り続けてきました。BIG4という、伝説級の選手が4人も揃ってしまった時代にいながら世界トップ10を常に保ち、ツアーファイナルに7度も出場し、全仏準優勝、パリマスターズ優勝、ツアー27勝など多くの輝かしい戦績を残し、戦った試合数は1111試合、そのうち733が勝利でした。

 

強さ、人柄、何を取っても素晴らしいフェレールという人物がテニス界の表舞台からいなくなってしまうことはとても残念なことです。僕もテニスを始めた頃から彼を見ていて、ずっと好きでした。彼のテニスを見ていると、自分ももっと頑張らないとと思えました。

ですが、今テニス界はどんどん新しい風が吹いてきています。引退する選手を記憶にとどめつつ、新しい選手たちを応援していきましょう。

最後に、フェレールのプロフィールを改めてまとめてみたのでご覧ください。

 

〇ダビド・フェレール

・1982/4/2
・スペイン、ハベア
・175cm/73kg
・2000年 プロ転向
・プリンス→バボラ→ウィルソン/ロット
〇成績、戦績
・ATP27勝
・全仏2013 準優勝
・パリMS2012 優勝
・デビスカップ 2008、09、11 優勝
・2002年 ツアー初優勝(ルーマニア)
・2006年1月 トップ10入り
・全米2007 GS初ベスト4
・マスターズカップ2007 準優勝、世界5位
・2012シーズン 7優勝/76勝
・2013年 世界3位(BIG4以外:2007年ロディック以来)
・2014年 600勝到達
・2017年 700勝到達

〇ツアー優勝 27勝【クレー13、ハード12、グラス2】【MS1、500 10、250 16】
2002 ブカレスト クレー ホセ・アカスソ
2006 シュトゥットガルト クレー 〃
2007 オークランド ハード ロブレド
ボースタード クレー アルマグロ
東京 ハード ガスケ
2008 バレンシア クレー アルマグロ
スヘルトヘンボス グラス ジケル
2010 アカプルコ クレー フェレーロ
バレンシア ハード グラノジェルス
2011 オークランド ハード ナルバディアン
アカプルコ クレー アルマグロ
2012 オークランド ハード ロクス
ブエノスアイレス クレー アルマグロ
アカプルコ クレー ベルダスコ
スヘルトヘンボス グラス ペッシュナー
ボースタード クレー アルマグロ
バレンシア ハード ドルゴポロフ
パリ ハード ヤノビッツ
2013 オークランド ハード コールシュライバー
ブエノスアイレス クレー ワウリンカ
2014 ブエノスアイレス クレー フォニーニ
2015 ドーハ ハード ベルディヒ
リオデジャネイロ クレー フォニーニ
アカプルコ ハード 錦織
クアラルンプール ハード フェリロペ
ウィーン ハード ジョンソン
2017 ボースタード クレー ドルゴポロフ