テニオタチャンネル

テニスオタクの社会人が、数々の大会をチェックし、スコアをファイリングし、時には会場へ足を運んで得たテニスの知識を元に誰よりも詳しく男子プロテニスを皆さんに紹介します。

大会レビュー#5 全豪オープンを振り返る

こんにちは。テニオタチャンネルです。

終わりましたね。全豪。今回は、全豪について全体的に振り返っていこうと思います。

  1.  錦織、満身創痍ながらベスト8進出
  2. メドベ、強い。
  3. ズベレフやっぱり3セット番長説
  4. ヒョンくん、フェデラー、チリッチ、エドモンド大幅失効、、、
  5. 若手の台頭
  6. ツアーファイナリスト消えすぎ
  7. 空気さん、復活!!!
  8. マレー最後の全豪
  9. やはりBIG4か、、、
  10. その他試合結果

1.錦織、満身創痍ながらベスト8進出

  前哨戦のブリズベンで久々の優勝を果たしいい流れで臨んだ今大会。ケガが気がかりなだけにアーリーラウンドではあまり時間をかけずにトントン勝って行きたいところでしたが、シードなしでもやはり相手はトッププロ。そう簡単にはいきませんでした。1回戦で当たった相手は世界176位の無名選手マイクシャック。レベルでいうとチャレンジャーですね。日本勢だと内山あたりと同格です。錦織としては軽くひねりつぶして体力温存といきたいところでしたが、マイクシャックの思わぬ善戦ぶりにいきなり2セットダウンと追い込まれます。しかしここでマイクシャックの身体に異変が。息を吹き返した錦織が2-2まで持ち込むと、マイクシャックの棄権となりました。続く2回戦では大ベテラン、カルロビッチ大先生と対戦。プネで準優勝し衰えない元気さを見せていた大先生もまた錦織を追い込みます。錦織が先に2セットアップと有利に試合を進めますが、3,4セットを大先生がわずかなチャンスをものにしてフルセットにもつれます。ファイナルセットも両者ブレークを許さず、10ポイント制マッチタイブレークに突入します。ここで先にリードを奪ったのは大先生でしたが、錦織が持ち味の逆境に強いメンタルを発揮し、土壇場で逆転。見事4時間近い試合を制し勝利を飾りました。3回戦のソウザ戦にしてようやく圧勝します。しかし、4回戦のカレー戦はまたしても大激戦に。マッチタイブレークにもつれ、5-8と危険なスコアまでリードされますが、またしても鋼のメンタルで追い込まれてからさらにラリーのレベルを上げ、またしても逆転勝利したのです。ただ、もう30手前という年齢になった錦織。負担がかかり過ぎたんでしょう、QFジョコビッチ戦は途中棄権になりました。

 今回は、もうとにかく錦織の心の強さがわかる大会でしたね。さすが、フルセット勝率歴代記録保持者です。どんなに追い込まれてもあきらめませんし、どんなにプレッシャーかかる場面でも委縮するどころかそれまでを超えたレベルのプレーを見せてくれますね。

  今回途中棄権となりましたが、まだまだシーズンは長いです。ATPは相当なブラック協会(ファンからするといっぱい大会やってくれるのでありがたいけど、選手から見たらね、、)で、休みもほとんどありません。とにかく、休む大会はしっかり休んで、無理のない範囲で活躍を見せていただきたいところです。

2.メドベ、強い

  去年一気に頭角をあらわしたメドベデフ。楽天では錦織をストレートで下して優勝し、今期はチチパス、デミナーと並んで最も伸びが期待されている若者です。(髪の毛は結構ささげてる)そんなメドベデフですが、1回戦では予選勝者ハリス、2回戦でハリソン兄、3回戦ではゴファンと、なかなかなメンツを全く寄せ付けずに4回戦のジョコビッチまで上がってきました。テニスファンの間でも、今回big4以外でジョコビッチに対抗できるのはメドベしかないないとの声もありました。結果は負けましたが、1セット取る健闘を見せました。今大会のジョコビッチの仕上がりを見ると、1セット取っただけでも相当なもんと言えるでしょう。

  今後が楽しみなメドベ、以前デイリーテニスの記事でも書きましたが、ツアーファイナルに行ってもおかしくないと思っています。

3.ズベレフやっぱり3セット番長説

  はい、これはもうテニスオタの中では定番ネタです。マスターズとかツアーファイナルではbig4並の強さを誇る世界3位ズベレフ弟。それなのにグランドスラムになった瞬間普通の選手と化す現象です。彼がトップ選手になった時からずっと言われていることで、去年ツアーファイナルでフェデラーとジョコビッチを立て続けに下し、ついに世代交代だ!来年はズベレフがグランドスラム獲るぞ!的な気運になっていたところでまたもやってくれましたねw  まあ、相手はラオニッチでしたし、まだ今年あと3回グランドスラムあるので、気長に待ちましょう。

4.ヒョン君、フェデラー、チリッチ、エドモンド大幅失効、、、

  上に挙げた4人は、去年の同大会でベスト4入りした面々です。全員が今年はその成績に大幅に届かなかったので、かなりの失効があります。一番きついのはフェデラーで、去年の獲得ポイントは優勝なので2000ポイント、対して今年は準々決勝敗退なので180ポイント獲得、すなわち1820ポイントの失効となってしまいました。これにより、ズベレフ、デルポ、アンダーソンに抜かれ6位に転落(逆にこんだけ失効して6位てw)しました。

  去年準優勝したチリッチは4回戦敗退ですので、1020の失効となり10位に。悲しい。

  エドモンドは710ポイント失効で15位落とし29位に。そして今回一番ランキングを落としのはヒョン君で、失効ポイントはこの4人で一番少ない675なんですが、なんと25もランキングを落とし50位となりました。確かに、エドモンドはその後もそこそこ安定してましたが、ヒョン君は全豪以降目立った活躍なかったもんね、、

5:若手の台頭

  今大会は若手(ネクジェネ)の活躍が目立ちました。最も好成績だったのはチチパスで、バシラシヴィリや、前哨戦ドーハを制し破竹の勢いだったバウティスタアグート、そしてフェデラーを下しベスト4入りしました。ティアフォーは、アンダーソン、セッピ、ディミトロフといった経験豊富な強豪を倒してナダルとの準々決勝へ進出。また、2番の記事でも書きましたが、メドベデフはライアンハリソンやゴファンを全く寄せ付けず。4回戦ではジョコビッチに敗れるものの1セットを奪う健闘を見せました。同じくシャポバロフも3回戦で1セット取っており、この全豪でジョコビッチからセットを取れたのはこの2人だけでした。また、今大会では上位進出はならなかったもののデミナーやカチャノフ、錦織を崖っぷちまで追い込んだマイクシャック、新星ポピリンなど、有望な若手がたくさんいます。若手が強いと、テニス観るのが更に楽しくなりますね

6:ツアーファイナリスト消えすぎ

  真の強者だけが出場できるツアーファイナル、昨年そこにいた選手達が今回は早々に姿を消しました。まずイズナーが初戦敗退します。これに関しては、全豪の遅く跳ねないコートはあまりイズナーに合ってない気がするので仕方ないともとらえられます。しかしその後、ティームが2回戦で棄権、アンダーソンも2回戦でティアフォーに敗退、チリッチとズベレフが4回戦敗退となんとも微妙な結果でした。フェデラー、ジョコビッチ、錦織の3人だけが2週目勝ち残りでした。観てる側としては物足りなかったですが、強い選手ほど試合期間が長くなり身体への負担は増えるのに休みの時間は短くなるので、無理もないと思います。ツアーは調べれば調べるほど大変ですし、、無理しないように調整してほしいです。

7:空気さん、復活!

  こちらはテニスオタク待望の話題です。強いベルディヒが帰ってきました。前哨戦ドーハで準優勝して全豪入り、エドモンド、ハーセ、シュワルツマンとなかなかタフな組み合わせを勝ち抜いてナダルとの4回戦まで勝ち上がりました。さすがにナダルにはかなわなかったもののジョコビッチ以外で唯一タイブレークまで持ち込みました。

また上位シードにベルディヒさんの名前を見られるのが待ち遠しいですね。

8:マレー最後の全豪

  衝撃の引退発表をして臨んだ今大会。1回戦でバウティスタアグートとの試合に姿をあらわしたマレーには惜しみない拍手が送られました。マレーは勢いのいいバウティスタアグート相手に2セットダウンからタイブレークを2つ取ってフルセットに持ち込む健闘を見せた後、吐いたしました。

  なお、その後この大会が最後になるのか、ウィンブルドンまで続けるのかの本人からの発表はなく、股関節の手術を受けた様子がインスタグラムにあげられています。今後どうなるのか引き続き見守りたいと思います。

9:やはりbig4か、、、

  昨年、最後のマスターズであるパリでカチャノフがジョコビッチを下して優勝、さらにツアーファイナルではサーシャがフェデラーとジョコビッチを2枚抜きして優勝と、世代交代の気運が高まった中での今大会でした。実際、5番でも書いた通り、チチパス筆頭にメドベデフやティアフォーの活躍が見られましたが、やはりジョコビッチやナダルと戦うとそのあまりにも大きな壁が素人目にも見て取れました。若手が育っていくのはこれからとはいえ、big4の残る3人はまだまだテニス界の頂点を明け渡す気はなさそうです

10:その他試合結果

  これまで挙げていないその他の試合として、ダニエル太郎は1回戦をコキナキスの棄権で勝ち上がった後、シャポバロフにストレートで敗れています。西岡良仁は1回戦でサングレンを下し、2回戦でカチャノフに敗れました。

  ダブルスでは、フランスのベテランペア マウー/エルベール組が優勝し、ダブルスのキャリア・グランドスラムを達成しました。日本のマクラクラン/シュトルフは1回戦で敗退しています。

 

以上で全豪のレビューを終わります。

お読みいただきありがとうございました!