テニオタチャンネル

テニスオタクの社会人が、数々の大会をチェックし、スコアをファイリングし、時には会場へ足を運んで得たテニスの知識を元に誰よりも詳しく男子プロテニスを皆さんに紹介します。

マレーの引退について

昨日、テニスファンにとって衝撃のニュースが入ってきました。言わずと知れたbig4の一角で元世界1位のアンディ・マレー(イギリス)が引退を表明しました。彼が会見で語った内容の要項は以下の通りです。

 ・今季限りで引退する

 ・地元ウィンブルドンを最後にしたいが、そこまで持つかわからず、全豪で終える可能性もある

 ・右臀部にかなり前から痛みがあった

 ・2018年1月に手術を受けたが、痛みを取り除くには至らなかった

 ・もともと痛かったが、2017年全仏準決勝ワウリンカ戦で完全に壊れてしまった

 ・いくら治療し、リハビリ、トレーニングをしても、元のレベルに戻れない

 ・この18ヶ月、臀部の痛みばかりが頭にあった。このような状態で続けてもテニスを楽しむことはできない。心理学者とも話し合いを重ねたが、精神的な面からもこれ以上は、と判断した

 

会見の内容はざっくりこんな感じです。この発表を受けて、特に仲が良かったキリオスやデルポトロを始め、選手達もいたわるコメントを出しています。

僕も、このニュースを見たとき放心状態になってしばらく動けませんでした。僕がプロテニスを見始めた時には既にbig4は完成しており、大きい大会の終盤には必ず彼らがいて、彼らがいないテニスなど考えられませんでした。それほど、圧倒的な強さと存在感を放つのがbig4です。その1人がいなくなってしまうと思うと悲しくてなりません。

また、彼は自身がbig4でありながら、最もbig4に苦しめられた選手でもあります。グランドスラム決勝に11度も進出しながら、なんと8回もフェデラージョコビッチに優勝を阻まれています。特に全豪では5度決勝進出しながらその2人にすべて敗れました。また、自身以外の3人に常に世界1位の座をキープされ、何年も努力し、2016年にようやくナンバーワンを手にしました。しかしその代償は大きく、先述した怪我に悩まされ、その後(2017年以降)マレーは1度も大きなタイトルを手にすることなく引退発表に至りました。しかし、彼の諦めない姿勢、ジョコビッチと並ぶ世界一のリターン、天才的なロブ、信じられないカウンター、ずば抜けた戦術眼は、僕達に感動を与えてくれました。(なお、最後にジョコビッチと練習試合を行い、1-6 1-4となった時点で中断、コーチ陣と話し合いをしました。ファンの間では、昔からの親友であり最高のライバルでもあるジョコビッチに見届けて欲しかったのでは、と言われています。)

また、トップアスリートでありながら休日はゲーム漬けというギャップも、親しみやすい人柄として知られています。2014年のツアーファイナル決勝の日、フェデラーが試合前棄権を決断した際、マレーは家でマリオカートをしていたところエキシビションのオファーの電話がかかってきて、それを快諾しジョコビッチと試合をした、さらに本人曰くマリオカートはテニスより上手いというのはテニスオタの間ではマレーがいかにゲーマーだったか分かる話として有名です。イギリスの番組では、寝起きドッキリをされて放送禁止用語を連発し笑いをとっていました。 プライベートジェットを手にした時は、友人のツォンガを乗せてあげました。そんな彼の人柄も、愛される理由だったと思います。

ずっとテニス界を支えてきた選手がコートを去るのは悲しいことです。今年は、フェレールも引退してしまいます。ですが、今ズべレフやチチパスを筆頭に若い選手がぐんぐん育ってきています。去る選手を惜しみながら、新しい選手を迎え入れてこれからも選手達を応援していきたいと思います。

アンディ、本当にお疲れ様でした。

最後に、マレーの偉大な経歴を列挙してこの記事を終わります。

 

・2005年 プロデビュー

・2006年 ツアー初優勝(18歳9ヶ月)

・2008年 マスターズ初優勝(シンシナティ)

・                   全米オープン準優勝(初のグランドスラム決勝進出)

・                   ツアーファイナル初出場

・2012年 オリンピック金メダル

・                   全米オープン優勝(初のグランドスラム優勝)

・2013年 ウィンブルドン 優勝

・2015年 デビスカップ 優勝(出場試合全勝)

・2016年 オリンピック 優勝

・                   ウィンブルドン 優勝

・                   ツアーファイナル 優勝

・                   世界ランキング 1位

・                   年間ランキング 1位

f:id:ATPworldtour:20190112180619j:plain