テニオタチャンネル

テニスオタクの社会人が、数々の大会をチェックし、スコアをファイリングし、時には会場へ足を運んで得たテニスの知識を元に誰よりも詳しく男子プロテニスを皆さんに紹介します。

デイリーテニス#14 全豪特集 最終日 決勝 ジョコビッチvsナダル


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こんにちは。テニオタチャンネルです。

昨日、全豪男子シングル決勝ジョコビッチvsナダルの試合が行われました。ジョコビッチが優勝すれば15回目のグランドスラム制覇と史上最多7回目の全豪タイトル達成、ナダルが優勝すれば18回目のグランドスラム制覇と未だ誰も成し遂げていない生涯グランドスラム2周達成という、どちらが勝っても前人未到の大記録がかかった試合でした。今回はその試合について掘り下げてお伝えします。

◯誰も予想しなかった結末

  僕も前回の記事で書いたのですが、この2人の戦いは毎回壮絶な試合になることで有名で、総合的な対戦成績もほぼ互角です。さらに、今大会ではお互いがそれぞれのブロックで異常なまでの強さを発揮し、1試合平均2時間ちょっと(←驚異的な短さ)で済ませることで体力を温存して決勝に来ました。このような理由から、誰もがどちらが勝つにしろ、凄まじい長期戦になることを予想していたと思います。ところが、試合は誰も予想だにしなかった方向へと進んでいくのでした。。。

 

  立ち上がりはジョコビッチのサービスから。この時点で、ジョコビッチはかなり攻撃に戦略を振っており、コースはガンガン振るわジャックナイフ打つわで非常に攻撃的でした。サーブも力強かったです。対するナダルはその攻めに対応できておらず、ジョコビッチのサービスゲームではもちろん、自分のサービスでも主導権を握れていませんでした。彼の昔からの武器、ディフェンスは影を潜め、ジョコビッチの攻めを全くさばけていませんでした。ここ最近、モヤコーチから習得した攻めも良くなく、ミスを連発。最初のサービスゲームでいきなりブレークを許します。第7ゲームでは空振りするなど、ナダルらしくないプレーが続きます。対するジョコビッチはよく身体が動いていて、なんと4連続でサービスをラブゲームキープ(相手に1ポイントも与えずにサービスをキープすること)しました。リターンゲームでも常にナダルにプレッシャーをかけ、特にこの日好調だったバックハンドを活かし、ナダルの十八番である右利きのバックへの跳ねるスピンを完全に封じ、むしろチャンスボールかのように叩いていました。その流れは変わることなく、ジョコビッチはそのまま自分のサービスで1ポイントしかナダルに与えず、ウィナーはナダルの倍、エラーはナダルの3分の1でセットを取るという衝撃的な強さを見せました。

  第2セットではナダルが切り替えてくるかと思われましたが、展開は第1セットと変わらず。ナダルからはなんかリズムが掴めてない雰囲気が出ていました。対するジョコビッチは、ファーストサーブを70%入れ、自分の形をしっかりと作っていました。ファーストサーブでのポイントwon率は75%と十分高かったのですが、驚異的だったのはセカンドサーブで86%取っていたこと。つまり、それだけサーブで崩さなくてもラリーだけで十分にコートを支配できてたということです。逆にナダルは、ファーストサーブin率は68%とジョコビッチとほぼ同じだったものの、ファーストサーブポイントwon率40%、セカンドで57%と、やはりジョコビッチが主導権を握っていたことを証明するデータになっています。第6ゲームにしてようやくナダルらしいカウンターがとびだし、デュースに持ち込み、ここから反撃か???と思われましたがジョコビッチは慌てず、ブレークポイントを与えることなくキープ。ナダルのエラー9本に対して、ジョコビッチのエラーたった1本というこれまた驚異的な安定感でナダルのサービスを2回ブレークし、セットカウント2ー0と全豪制覇へ王手をかけます。

  なんとか踏ん張りたいナダルですが、第3セットに入っても流れは変わりません。ミスが多く、準決勝まではバシバシ入っていたカウンターやパッシングが全然入りません。ジョコビッチは相変わらず絶好調で、そんなナダルをさらに追い込みます。第3ゲームでは、この世でジョコビッチしか出来ないであろう目を疑うようなアクロバットプレーが飛び出します。それがこちら。

なんですかこれは。ひどすぎますよね。いじめですよこんなもん(錯乱)このセットの中盤になってようやく、ナダルがジョコビッチのサーブを楽にキープさせない程度には打ち合えるようになりますが、ブレークには至りません。その流れのまま、ついに迎えたマッチポイント。ラリーの末、最後はナダルのバックがアウト。この瞬間、ジョコビッチの優勝が決まりました。ジョコビッチは、ナダルをも寄せ付けず圧倒的な、あまりにも圧倒的な強さでこの大会を制したのでした。

  見ていて思ったのは、ひたすらジョコビッチがすごいということでした。ナダルが全然ジョコビッチに対応出来ていなかったのは、不調、体調が万全でなかった、ジョコビッチがナダルに自分のプレーをさせないようにしていたなど、いろんな説、見方があってどれが実際の理由なのか僕には想像するしかありません。なので、ひとつだけ確実だったのが、ジョコビッチがひたすらにすごいということでした。

 

  以上で、決勝の解説を終わります。

ジョコビッチ、優勝おめでとう。ナダルも準優勝おめでとう。

他の選手もお疲れ様でした。

決勝の動画貼っておきます。

次回はこの全豪オープンの総評の記事を書こうと思います。

お読みいただきありがとうございました!


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